第16話【セルフケア】

乳ガンの治療にあたって、私は偏った食生活と
生活習慣を見直した。

朝はできるだけ早く起きて、
掃除洗濯、晩ご飯の下ごしらえなど
家事は出勤前に片づけるようにした。
夜は時間を決めて23時には床に就くように心がけていたが
今は、ダブルワークも休みをもらっていたので
就寝までに少し時間ができた。

副作用で皮膚障害が起きることがある、と聞いていたので
就寝までの時間はゆっくりと肌のケアに時間をあてるようにした。

今から予防として出来るのは
「身体を清潔に保つこと」「十分な保湿を与えること」
「肌に余計な刺激を与えないこと」

ボディソープを、肌への刺激が少ない固形石鹸に替え、
合成繊維のボディタオルも100円ショップで売っていた
シャボンボールに切り替えた。
シャボンボールはそのままで身体を洗えるのだが、
私は主に身体を洗う「泡」をつくるネットとして購入した。
洗顔用の泡立てネットより大きいので
大量のクリーミーな泡が一度に出来るので時短になっていい。
実際に身体を洗う時には、無駄に肌を刺激しないよう
手に取った泡で身体を包むように洗うようにした。

入浴が終了したら間髪入れずに顔と身体全体に
化粧水とボディクリームを塗る。
ボディクリームの伸びがちょっと足りないな、と思った時は
無印良品で購入したホホバオイルをクリームにちょっと加えた。
それを丁寧に、そしてたっぷり身体に塗り込んでいく。
私の入浴時間はこれだけでだいぶ長くなった。

私は20代の終わりに陸上自衛隊で教育を受けたことがある。
この組織で適応しようとすると「風呂・飯・トイレ」は
驚くほど早くなる。
若いときに身体に染みついた習慣というものは
今でも意識しないとなかなか直らないものだ。
この際、意識して食事とお風呂はゆっくり楽しもう。

でもまだ何か足りない気がした。

(運動だな)

投薬してから身体の重さと同時に
頑張って意識しないと身体に力が入らないのを感じでいた。
このままなんとなく生活していたら
筋力があっという間に落ちそうで怖い。

もともと身体を動かすのは大好きなだったので
以前は区の体育館で筋力トレーニングを行ったり
ダンスセンターに通ってダンスのレッスンを受けていた。
けれど今回は自宅で、自分のペースでできる運動がいいな。
と考えている時に、ふと、あるクラスを思い出した。

【ヨガ】

1、2回ほど体験レッスンに参加したことがあった。
きちんとやろうとすると、結構、呼吸が難しかった記憶があるけど
その呼吸法が自律神経のバランスを整えるんです、と
インストラクターが言っていた。

いいかも!

最初のFEC療法から4日経った頃
我慢できないほどではないが、めまいが始まっていた。
グルグルと目の前の景色が回る回転系のめまいではなくて、
長い時間、船にのって波に揺られたあとの
頭と身体がゆらゆらする感覚。

このめまいは2年くらい前にも経験していた。
当時は内科・耳鼻科に通ってみたが、
原因と思われるものがなかなか見つからなかった。
その後、右の耳が聞こえづらくなりはじめ、
もしかして、と受診した心療内科で自律神経の乱れ、
と診断されたことがある。

今回のめまいの直接の原因が抗がん剤なのか、
治療のストレスなのかは分からないが、
とにかくまた自律神経が乱れているのかも。
次の診察で先生に報告しなければならないけれど
それでなくても副作用を抑える薬をたくさん飲んでいるのだ。
できればこれ以上、薬は増やしたくない。

自分の意識でやれることがあるならやってみよう。
手始めに私は「いつかやるかもぉぉぉ。」と録画していた
ヨガ番組のDVDを引っ張り出した。

 

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