fec療法3回目。
挨拶も早々に
「じゃちょっと診てみましょう」
このC病院では診察前の待ち時間に
前回の治療からこの3週間に身体に起きたこと、感じたこと、
不安に思っていることなどを記入して提出することになっている。
そこで私は思い切って、かなり気になっていたことを書いていた。
『副作用についてはまったくありません。
お陰様で仕事にも日常生活にもほとんど支障がありません。
ただ、しこりが小さくなった感じもなく、薬が効いているか不安があります』
触診して先生も納得。
う~んと少し考えたあと
fecをあと2回やった後に予定しているハーセプチンは、よく効くので期待して大丈夫、今回のfecでも効果がなければ次回のfecは少し薬の度合いを変える、と言った。
そこで私は他に2回目以降で気になった、身体のあちこちが不定期に、断続的に痛くなること、辛かった口内炎予防の氷のこととお陰様でほとんど使わない下剤と消化器系の薬が大量に余っている状況を報告。
身体の痛みについては、やはり元気に過ごしていても病気への不安が
全くないわけではない。ましてやしこりの変化も感じられていないので
正直「もしかして転移?」とふと不安になることが痛むたびにある。
その思いを勇気を出して聞く。
痛みや症状について人に説明するのは難しい。
今までもいろんな病院で歯がゆい思いをしてきたけれど、今回もあまり上手くは説明できなかった。
痛みの度合いは10を満点として
数字で表したり、種類は擬態語で伝える方法がかなり有効らしい。
そういったうまい説明が出来なかったせいか(その都度メモしておかなかったので記憶が少し曖昧だったのも失敗)今私が感じている痛みそのものが何であるか先生もはっきりとは断言はしなかった。
「でも転移ではないから大丈夫。」
新薬開発の臨床試験では、
【患者報告アウトカム】(PRO・Patient Reported Outcome)
という言葉があるらしい。
これは、薬を使った被験者が症状などを主観的に評価するシステムなのだが、
根本に「治療は患者のためにあるものなのだから、医薬品の評価にも
患者の主観的評価を積極的に取り入れていく」という考え方があるらしい。
痛みや味覚などを伝えるのは本当に難しいけれど、より良い薬と治療を願うならば治療される患者にも
医師に丸投げでなく、ある程度自身がやらなければならないことってあるんだな、って最近思う。
伝えなければ医師も状況を把握できないので、今は下手くそでも、これは根気よく良い伝え方を研究していこう。
辛いときほど書き殴りでよいからメモをしようと思った。
「それを早く言ってくれていれば」ということで私も先生もあとで後悔したくないはずだ。
私の下手な説明を理解しようと
眉間にシワをグッと寄せて
根気よく聞いてくれるC先生に感謝、感謝。
口内炎対策の氷については今も口内炎ができていないのなら無理しなくてOKということになった。
下剤なんてよくよく数えたら70錠近く残っていた。
「はいはい。じゃもうデカドロンとカイトリル以外は要らないね。眠剤は?」
「それは少し欲しいです」
デカドロンもカイトリルも制吐剤なのだが
デカドロンに興奮作用があって飲むとぐっすり眠れないのだ。
2~3時間ごとに起きてしまうので(年齢のせいか、トイレもあるんだけどね)
2回目の時に導眠剤を処方してもらった。
「それでもこの導眠剤はあんまり強くないからもしかすると夜中に目覚めてしまうことがあるかも。
と言ってそこで続けて飲むと翌日に支障が出るから・・・」
「諦めてモンモンとしていろ、ということですね。分かりました」
私はもうひとつ、本当は報告したくなかったのだが絶対聞いておきなさい!というパートナーのありがたい【ご指導】を受けたことをしぶしぶ付け加えた。
「先生。あんまりこの治療と関係ないと思うのですが・・・」
「何?」
「足の親指が赤く腫れてかゆいのです。2日前から」
「どれどれ。あー。・・・水虫?」
ほら!だからこの治療とは関係ないって言ったのにぃ!!
「いや、でも・・・そうでもなさそうな気もするなぁ。
投薬まで1時間あるから皮膚科を受診して診てもらって来なさい。
カルテ書いておくから」
結局この日は、投薬までの1時間を2フロア下の皮膚科受付前で過ごした。
乳腺外来とか腫瘍科では、あんまり目立たないのだが
ケアキャップと投薬準備で左腕に刺さっている注射姿が
皮膚科では思いきり浮いていて
同じ病院の中だけどどうにも気まずかった。
ちなみに受診結果は
「これが全体的に広がれば、副作用も考えられるのですが、
ここ1か所だと今の段階ではなんとも言えないですねぇ。
軟膏を出しておくので、様子を見てまた来てください」
だって。もう。