第4話【針生検】

担当のC 先生は、50代の女性の先生で、診察室の扉を開け一見した時、仕事のできそうな人だと感じた

「こちらの拙い言葉がうまく伝わるだろうか」

という不安を抱いたが、私自身について、社会生活について、検査についてを話して合っているうちに、私の気持ちを、私が発する言葉以上に察して頂ける先生で良かったと、ホッとできるようになった。

それでも先生は、やはりやり手なのだろう。
優しい声と厳しい声をしっかり使い分け、もの凄い勢いで検査室に検査予約を入れてくれた。
当日は、正直またやるのか、と気分がゲンナリしたマンモグラフィーと
エコー検査を再び受け、別日に胸のMRIと針生検を行うことになった。

MRIは造影剤を注射しての撮影になった。
うつ伏せになり、乳房だけを穴に入れた状態で機器の中に入る。
姿勢が意外ときつい。それ以上に轟音が強烈で、機器の中は狭い。

普段なら一緒に歌ってしまうだろう、ジブリのテーマソングが
色々と流れているヘッドフォンを技師さんが装着してくれたのだが
ほとんどかき消されてしまい、遠くから時々うっすらと聞こえるような感じが、なんとなく不安になってしまった。

その後、私が受けた針生検は、太目の注射針のような針を局部麻酔した患部に刺して、内刃でしこりの細胞組織を回収するというものだった。

細胞を切り取る時、「パチン」という爪きりで爪を切るような音がした。
麻酔をしていたから当然、痛みはないが出血しているので看護師さんが止血してくれる。
始める前は緊張していた。
でもC先生も看護師さんもリラックスさせてくれたので終わる頃には
なんだか珍しい経験をして楽しんでいる自分がいたが、検査を終えた着替えのカーテン越しに

「最短1週間で結果を出すからね。来週には確定診断が出ます。
そのときはお一人で来る?ご家族といらっしゃる?」

と先生に言われて、現実に引き戻された。

これは単なる健康診断ではないのだ。

針生検のあと、急遽、頭、腹等のCTも追加で撮影しておきましょう、との先生の言葉で、転移の可能性という言葉が頭をよぎった。

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